千葉県のLさん(37歳)に話を聞きました。
2005年3月から9か月、愛知県のトヨタで期間従業員として働いていました。
当時、長年勤務していた会社を退職し、次の就職先を探していたのですが、なかなか決まらずそれまであった貯金も少なくなってきたのが最大の理由です。メーカー直の期間従業員の場合、就業してから一定期間で給与とは別に一時金も給付されますし、寮も完備されていて殆ど生活費の心配も無く、一定期間しっかりと働けば大きな貯金が可能で、この先の就職活動などにも融通が利くと考えました。
また、トヨタ自動車といえば経営学の世界では有名な「カンバン方式」という生産方法があり、その生産方法を自ら体験してみることで、今後の社会経験にも役立つのではないかとの興味も、期間従業員を志した理由のひとつです。
面接場所は新宿にある会場で行なわれました。面接時に聞かれたことは、志望動機と健康に不安は無いか?以前に同じような仕事の経験があるかや、立ち仕事など肉体労働の経験があるかなどの質問でした。とにかく質問に答えるときには、元気さとやる気をアピールし、さらにこれまでの社会人経験で欠勤が無く体力と健康管理には自信があることを伝えました。
タイヤを車体に付ける作業を行なっていました。流れてきたボディーにタイヤを付けてボルトを締める…という繰り返しで、慣れてしまえばそれほどの苦労は無いものの、最初のうちはタイヤを一日中持ち上げるだけで、腕がパンパンになるほど疲れてしまいました。
作業中はかなり理路整然としたというか、黙々とした感じでみなが作業に集中していますが、休憩中などには和気藹々とバカ話などもするなど、かなりいい雰囲気の職場で仕事が出来たので、苦痛などは感じませんでした。
労働時間は9時間拘束の8時間労働が基本で、残業もそれほど無く、休憩もしっかりと取らせてもらえましたので、労働環境はかなりクリアだと思います。
給与に魅力を感じて、短期間で稼ぎたいと思って就業したわけですが、その希望に応えられるだけの給与は得られました。通常の給与だけでなく、一定期間働いたことにより給付される一時金などもあり、引っ越してすぐの金銭的不安も解消されましたので、本当に満足行く結果です。
期間従業員が暮らす寮というと、相部屋や大部屋なのかなと最初は不安だったのですが、実際に言ってみるときれいなワンルームマンションのような場所で、一人部屋だったのでとても安心しました。
部屋にキッチンなどは付いていないのですが、寮に暮らす従業員全員が使える大食堂があり、そこで毎日食事がとれました。食事は有料なのですが、コンビニ弁当や外食するよりもはるかに安く、しかも栄養も考えられてバランスのいい食事が毎日提供されますので、外で食べたり買って食べようと思う気持ちは起きませんでした。
最もキツかったのは、配属された部署による差異も大きいかも知れませんが、私の場合は最初に体力的についていくのがかなりキツかったです。
それまでの仕事は、オフィスワークで就業中はずっとイスに座りパソコン操作をするという仕事でしたので、常に立ちっぱなしの状態や、物を持ち運びする作業の繰り返しで、最初のうちは全身が筋肉痛になってしまいました。
お金が短期間で貯められたことは、当初の期間従業員になる目的でもありましたので物凄くよかったです。
あとは、人生の中で初体験だった肉体労働をすることで、モノを作り出す楽しさや、自分がやった仕事が形になって何かに反映される充実感を味わうことが出来たのもうれしかったです。
街でトヨタ車を見るたびに、「あれは自分がつくった車両かも」と思わずニヤついてしまうほどでした。
人間関係は本当に恵まれていました、同僚も非常に丁寧に作業のやり方を教えてくれましたし、上司も決して上からの命令口調などではなく、本当に物を作っていく仲間として扱ってもらえました。
肉体労働の現場は、かなり厳しい上下関係があったり、ともすればかなり乱暴な人が多い印象でしたが、本当に穏やかな人が多く働きやすかったです。
お金を貯めるのが目的でしたので、休日は外出などは極力控えて自宅でDVDやテレビを観たり、インターネットをやったりして過ごしていました。
寮の近くにはパチンコ店などもあり、同僚の中には休日ごとというよりは、仕事が終わると毎日のように行っている人もいましたが、自分はその辺はガマンして過ごしました。
期間従業員になると、生活費がそれまでの生活とは比べ物にならないくらいにかかりません。水道光熱費も食費も、殆ど意識しなくて良い程度の金額になります。そのため、手にした給与に殆ど手をつけずに過ごすことになると思うのですが、その分、周辺にはギャンブルや女性、お酒…など誘惑はたくさんあります。その誘惑に飲み込まれると、お金がどんどん出て行って、最終的に貯金も殆ど無いという状況になります。
お金を貯める目的で期間従業員になった方は、ぜひ自分の目的が何だったのかを自覚し、自制心を持って生活して欲しいと思います。
→期間工のための節約術!お金を貯めるための8つの方法
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