トヨタの期間工として働いた経験のある栃木県のDさん(38歳)に話を聞きました。
2013年の8月から2014年の7月まで愛知県豊田市でトヨタの期間工として1年間働きました。
正社員の仕事を探しましたが、私の経歴や年齢では、なかなか見つかりませんでした。そこで期間従業員を選びました。
面接場所は、東京都内の会議室でした。質問された内容は、これまでの自動車組立工場で働いた経験の有無や期間について聞かれ、自分は2006年と2007年に働いた経験があると回答しました。経験があったので話はスムーズに進みました。
自動車のドアの取り付けを担当していました。労働時間は8時間で、日中の時間を担当していました。自動車組み立て工場は、もちろん私語をすることなどありえませんので、静かに機械の音がするだけです。同僚たちも、みんな期間従業員ですが、無言で淡々として働いていました。
工場での人員管理というか、作業管理について感心させられるのは、私たち作業員を「過度に働かせない」ですし、「休ませない」ように作業が流れてくることです。ひとつの作業がちょうど終わると、また次の作業が私のところへ流れてきます。
おそらく、科学的にと言いますか、統計的なデータがあって、人間の1件あたりの作業は何分で済むので、そのタイミングで次の作業が流すように工場全体の生産の仕組みができあがっているのだと思います。
ですから工場で働いていると、自分が「機械」になったような感覚を覚えてしまうのです。
月給にして、約30万円でした。
ワンルームの部屋の寮に住んでいました。20平方メートルはなく、広くはありませんが、一人で住むことができましたので、わがままは言えません。食事は朝と夜は寮で出ましたので、栄養のバランスはとれていたのだと思います。
やはり、自分自身が「機械」や「ロボット」になった感覚に陥ってしまう点です。過労感を覚えるほど働かされることは無く、しかし、人間としての感情を奪われるような感覚に陥ったことが頻繁にありました。工場現場での「人間の管理」というのが優れてしまっているがために、人間が人間でなくなってしまうのです。心が荒んでしまいます。このため、このことが要因となって仕事を1年で辞めてしまったのです。
大企業の期間従業員ですから、給料は安定しています。取りはぐれはありません。寮は提供されますし、食事も栄養バランスのとれたものを提供されました。独身の自分としては、食事は助かりました。ふだんは、野菜を食べることはありませんから。
期間従業員というのは、いろいろな経歴の人間がいます。目つきや顔つきで、わかります。ですから話しかけることすら、憚れる人もいます。しかし、それでも同じ期間従業員のなかで気の合いそうな人が2人くらいは見つかります。そういう人とは、寮の部屋を行き来して喋ったりしてました。
仕事のある日は、ロボットや機械の感覚で働いていますので、その反動で、休日はできるだけ工場から離れて繁華街へ行くようにしてました。といっても、お金を使うのはもったいないので、ただ街中を歩くだけです。そして、漫画喫茶で漫画を読んで、コーヒーを飲めれば、気分転換になりました。工場から離れたくて仕方がなく、名古屋市内の中心部をよく歩いていました。
お金を欲しくて期間従業員になるのだと思いますので、いろいろ不満があっても、とにかく割り切りが必要だと思います。割り切って、淡々と日々を過ごすことが必要です。しかし、期間従業員は、不景気になれば真っ先に解雇されてしまったり、雇用契約の雇止めをされてしまう弱い立場です。ですから、正社員の仕事を探している方は、辛抱強くそちらも探し続けることが必要だと思います。自分を守るのは自分自身です。
コメント
この記事へのコメントはありません。
コメント・口コミする